SES経験者の職務経歴書の書き方|記入例と案件別テンプレート

SESや客先常駐で複数の案件を経験していると、職務経歴書を前にして手が止まることがあります。

  • 所属会社と実際に働いた会社が違う
  • 案件が多く、どこまで書けばよいか分からない
  • 顧客名やシステム名を公開できない
  • チームの仕事と自分の実績を分けにくい
  • テストや保守経験ばかりで、強みがないように感じる
  • 自分のスキルが転職市場で評価されるのか不安

特に、客先から依頼された作業を着実にこなしてきた人ほど、「自分が主導した成果がない」と考えがちです。

しかし、職務経歴書で評価されるのは、大きな成果や派手な実績だけではありません。

採用担当者が確認したいのは、どのような環境で、どの技術を使い、どの工程を担当し、どこまで一人で対応できるのかという事実です。

複数の現場を経験した人には、異なる開発環境への適応力、顧客や他社メンバーとの調整力、業界ごとの業務知識があります。

問題は経験が弱いことではなく、経験の伝え方が整理されていないことです。

この記事では、SES経験者向けに、職務要約、案件経歴、スキル一覧、自己PRの書き方を記入例付きで解説します。

職務経歴書の基本構成

次の順番で作成します。

  1. 職務要約
  2. 所属会社の概要
  3. プロジェクト・案件経歴
  4. 活かせる経験・スキル
  5. 資格
  6. 自己PR

採用担当者が最初に読む職務要約で、経験年数、得意分野、担当工程を伝えてください。

職務要約の記入例

改善前

SES企業へ入社し、複数の現場で開発やテストを経験しました。コミュニケーションを大切にして業務へ取り組んできました。

この文章では、具体的に何ができるのか分かりません。

改善後

ITエンジニアとして5年間、物流・小売業界向け業務システムの開発、テスト、運用保守を経験しました。Javaを使用したWebシステム開発では、詳細設計、実装、単体テスト、結合テストを担当しています。直近の案件では4名チームの進捗確認とコードレビューを担当し、若手メンバーの作業支援も行いました。

次の4点を入れます。

  • 経験年数
  • 経験した業界・システム
  • 使用技術
  • 担当工程・役割

職務要約テンプレート

 
ITエンジニアとして【経験年数】年間、【業界・システム】の
【開発・運用・インフラなど】を経験しました。

主に【言語・技術】を使用し、
【要件定義・設計・開発・テスト・運用】を担当しています。

直近では【チーム人数・役割】として、
【レビュー・進捗管理・顧客調整・改善活動】にも取り組みました。
 

所属会社の書き方

所属会社については、次の情報を簡潔に記載します。

 
株式会社〇〇
在籍期間:2021年4月~現在
事業内容:システム開発、IT技術支援
雇用形態:正社員
 

勤務した客先企業を、自分の所属会社として記載してはいけません。

案件経歴の基本項目

案件ごとに次の内容を整理します。

項目 記載内容
期間 2024年4月~2025年3月
業界 物流業界
案件概要 在庫管理システムの機能追加
プロジェクト規模 全体20名、自チーム5名
担当工程 詳細設計、開発、単体テスト
使用技術 Java、Spring Boot、MySQL、Git
役割 開発メンバー
担当業務 実装、テスト、レビュー、手順書作成
実績・工夫 共通処理の整理、手順書の標準化

案件経歴の完成例

物流会社向け在庫管理システム改修

期間

2024年4月~2025年3月

案件概要

物流会社が使用する在庫管理システムの機能追加および既存機能の改修。

プロジェクト規模

全体20名、自チーム5名

担当工程

詳細設計、開発、単体テスト、結合テスト

使用技術

Java、Spring Boot、JavaScript、MySQL、Git

担当業務

  • 詳細設計書をもとにした機能実装
  • 単体テスト仕様書の作成と実施
  • 結合テストで発生した不具合の原因調査
  • コードレビュー
  • リリース手順書の作成

実績・工夫

  • 重複していた入力チェック処理を共通化
  • テストデータ作成手順を文書化
  • 新規参画者向けの環境構築手順書を作成

顧客名を公開できない場合の書き方

守秘義務がある場合は、実名を書かずに業界や規模で表現します。

書かない方がよい例 書き換え例
株式会社〇〇のシステム 大手物流会社向けシステム
〇〇銀行の勘定系 金融機関向け基幹システム
〇〇市役所の案件 自治体向け業務システム
〇〇ECサイト 大手小売企業向けECシステム

機密情報を明かさなくても、業界、規模、担当工程、技術は伝えられます。

担当業務を具体的に書く

抽象的な例

開発業務を担当しました。

具体的な例

詳細設計書をもとにJavaで受注登録機能を実装し、単体テスト仕様書の作成とテスト実施まで担当しました。

抽象的な例

運用・保守を担当しました。

具体的な例

システム障害の一次調査、ログ確認、データ修正、利用部門からの問い合わせ対応、月次報告書の作成を担当しました。

「何を」「どの技術で」「どの工程まで」担当したかを書いてください。

スキル一覧の記入例

技術 経験期間 実務レベル
Java 3年 詳細設計、実装、テスト
Spring Boot 2年 Web API、業務ロジックの実装
SQL 3年 データ抽出、更新、障害調査
Git 2年 ブランチ運用、コードレビュー
Linux 2年 ログ確認、基本的なコマンド操作
AWS 1年 EC2、S3の操作、ログ確認

学習しただけの技術と、実務で使用した技術は分けて記載します。

実績の見つけ方

売上や大幅なコスト削減がなくても、実績は書けます。

  • 作業手順を標準化した
  • テスト項目の漏れを減らした
  • 問い合わせ対応を整理した
  • 障害の原因を調査した
  • 新規参画者向けの資料を作った
  • レビューを担当した
  • 納期どおりに担当機能を完成させた
  • 属人化していた作業を共有した

数値が分かる場合は入れますが、推測で数字を作ってはいけません。

自己PRの完成例

私の強みは、異なる開発環境へ適応し、必要な情報を整理して業務を進める力です。

これまで3つのプロジェクトへ参加し、業界、使用技術、開発手順が異なる環境で業務を行ってきました。新しい案件へ参加した際は、既存資料、ソースコード、過去の障害記録を確認し、不明点を整理してから担当者へ質問するようにしています。

直近の案件では、新規参画者が環境構築でつまずくことが多かったため、手順と注意点を整理した資料を作成しました。以後はチーム内で同じ資料が使用され、説明内容の統一につながりました。

今後は、これまでの開発・テスト経験を活かしながら、設計やチーム内の改善にも担当範囲を広げたいと考えています。

自己PRは性格だけではなく、具体的な行動と結果をセットにしてください。

提出前のチェックリスト

  • 誤字脱字がない
  • 経験期間に矛盾がない
  • 所属会社と客先を混同していない
  • 顧客の機密情報を書いていない
  • 担当工程が明確
  • 使用技術と実務レベルが分かる
  • チームの成果と自分の成果を分けている
  • 求人が求める経験を意識している
  • 3~5ページ程度で読みやすく整理している
  • ファイル名に氏名と書類名を入れている

まとめ

SESや客先常駐の経験は、案件名を並べるだけでは採用担当者へ伝わりません。

次の5項目を具体的に記載してください。

  • 担当工程
  • 使用技術
  • 自分の役割
  • 工夫したこと
  • 実績

複数の現場を経験した人は、環境への適応力や、異なる関係者と仕事を進めた経験も強みになります。

事実を誇張せず、「何を任され、どこまで対応できるのか」が分かる職務経歴書を作成してください。